自動車ガラスに求められる遮熱性能

何故、自動車ガラスに遮熱性能が必要か?

自動車のエクステリアデザインとして、フロントガラス・ルーフガラス・リアガラスが一体のガラスとして見えるようなガラスデザインが増えています。これは自動車にスタイリッシュで先進的なデザインを実現する一方で、ガラス面積が大きくなることにより、ガラスを通じて入ってくる太陽のエネルギーが増えることを意味しています。
多くの方が経験したことがあるように、太陽光が車内に差し込むことにより、肌でジリジリとした暑さを感じるとともに、車内温度が上昇していきます。車内に快適な運転環境を提供するには、この熱マネジメントが重要になります。
世界的に普及が進むEV(電気自動車)においても、エアコンなどの走行以外に使う消費電力を抑えることが重要な課題の一つになっています。
このように、ガラスサイズの大型化に対応しつつ、ドライバーや搭乗者に快適な車内空間を提供し、EVの走行パフォーマンスを最大化するためには、これまで以上に自動車ガラスに遮熱性能が必要になってきています。
また、自動車の設計目標に応じて、ヘッドアップディスプレイ、プライバシー、遮音など、遮熱以外の様々な機能との組み合わせも求められています。

積水化学S-LEC(エスレック)™遮熱中間膜

人が不快に感じるジリジリ感や、車内の温度上昇の主な原因は太陽光に含まれる赤外線による影響です。
合わせガラス用中間膜の機能の一つであるUV(紫外線)カットに加え、S-LEC™遮熱中間膜は遮熱微粒子を中間膜中に分散することで車内に差し込む赤外線をブロックします。これにより目に見える光である可視光線は透過したまま*1、自動車ガラスに遮熱性能を付与することが可能になります。
S-LEC™遮熱中間膜はジリジリと焼けつくような太陽からハンドルやシート、ダッシュボード、乗る人の肌を守ります。車内の快適性を高めることに加え、大型化するガラスデザインにも対応。自由な自動車ガラスデザイン、燃費や電費の向上にも貢献します。
S-LEC™遮熱中間膜は年間5百万台以上*2の新たに生産される自動車に採用され、遮熱性能に対する市場の要望の高まりから、その数は年々増え続けています。

*1 カラー中間膜などプライバシー機能を持たせるため可視光線透過率を下げることも可能です。
*2 当社推定

遮熱グレード

クルマのコンセプトや、その販売国・地域のニーズに応じて、求められる遮熱性能は異なります。S-LEC™遮熱中間膜にはL、AN02、AN01の3種類の遮熱グレードがあり、要求特性やガラス構成に応じて最適な仕様を選択頂けます。遮熱カスタマイズグレードのご提案も可能です。
自動車エンジニアや、ガラス設計担当者の設計自由度・選択肢を増やし、小型車から高級車まで様々な自動車に最適な遮熱性能を提案します。

電磁波透過性

金属コーティングされた遮熱ガラスと異なり、S-LEC™遮熱中間膜は遮熱微粒子を中間膜中に分散させることにより、熱源となる赤外線を遮断する一方で、電波を遮蔽せずほとんどの周波数帯において電波透過が可能です。ドライバーや同乗者は、車内でも携帯電話の通話やETCなどの機器の通信環境を損なうことなく快適に利用できます。

ベネフィット

S-LEC™遮熱中間膜が提供するベネフィットについて各種e-bookをダウンロードでご確認下さい。
快適性やEVへの貢献について、実車を用いた評価により優れた効果が確認されています。

  • EVへの貢献
  • 快適性
  • 遮熱性能の最適化
EVへの貢献

S-LEC(エスレック)™遮熱中間膜は、日射しによる車内の温度上昇を軽減し、エアコン負荷を抑えます。EVでの実車評価では約20%の消費電力の削減が確認されました。EVの航続距離の延長に貢献します。

快適性

S-LEC(エスレック)™遮熱中間膜は、日射しによる温度上昇を軽減し、外の暑さに関わらず車内をより快適に保ちます。積水化学による一般的なガラスとの遮熱体感度を比較した調査では、94%の人がS-LEC™遮熱中間膜による効果を実感しました。

遮熱性能の最適化

ガラス構成に応じて最適な遮熱グレードを選択頂くことで、最高の遮熱性能を実現出来ます。カスタマイズグレードのご提案も可能です。

遮熱性能との組み合わせ

クルマのコンセプトや設計目標に応じて、ガラスには遮熱性能との組み合わせが求められます。積水化学は様々なソリューションをご提案します。

ヘッドアップディスプレイ ヘッドアップディスプレイ

ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、上級モデルから一般モデルまで急速に普及が進んでいます。 S-LEC™遮熱中間膜をくさび形にすることにより、光の屈折をコントールし、クリアなHUD投影画像をフロントガラスに映し出すことを可能にします。

遮熱性を持つ金属コーティングを施したフィルムを合わせガラスの中に挟むと、コーティング層による光の反射により、HUDの投影画像がぼやけて見えることがあります。遮熱微粒子を分散させたくさび形状のS-LEC™遮熱中間膜は、このような現象を発生させず、鮮明なHUD投影画像と遮熱性の両立を実現し、ドライバーに安全で快適な運転環境を提供します。

遮音 遮音

S-LEC™遮熱中間膜に遮音機能を組み入れることにより、外から入り込む騒音の透過を大幅に低減し、遮熱性と静粛性によるワンクラス上のラグジュアリーな快適性を実現します。

デザイン デザイン

S-LEC™遮熱中間膜は、可視光線透過率(Tvis)が2%から70%以上に連続的に変化するワイドグラデーションとの組み合わせが可能です。
フロントガラスやリアガラスに搭載することにより、開放感となめらかなグラデーションによる美しさを演出し、自動車ガラスに先進的なデザインを提供します。

パノラマルーフ パノラマルーフ

特にEVにおいて、ルーフガラスが大型化し、車内に差し込む太陽の光をコントロールすることが重要になっています。S-LEC™遮熱中間膜はカラーと組み合わせることも可能です。自動車コンセプトに応じた様々なガラス設計に対応するため、複数のTvis(可視光線透過率)をラインナップしています。

S-LEC™遮熱中間膜の自動車ガラスへの展開

S-LEC™遮熱中間膜は様々なソリューションと組み合わせることで、フラントガラスだけでなく、サイドドア、ルーフガラス、リアガラスといった自動車ガラス全てに展開し、自動車全体の遮熱性を向上させることが出来ます。
ラインナップ詳細、Tvis(可視光線透過率)やTts(日射熱取得率)などのテクニカルデータはこちらからダウンロード下さい。

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